アーセナルの選手名鑑 :No.8/6編

前回のNo.6編に続き今回は No.8/6編です。いつもはレギュラークラスの選手から紹介してますが今回は逆の順番でいきます。それでは Here We Go !!

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5.No.8/6

1)チャーリー・パティーノ

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ヘイル・エンド出身の若手のホープ。2021/22シーズンにはFA杯で得点も決めています。プレーを詳しくみたわけではありませんが、プレス耐性が高く、ファースト・フェーズやセカンド・フェーズのビルドアップで大きく貢献するタイプのようです。線は細いですが守備でも積極的にタックルを仕掛けます。

2022/23シーズンはチャンピオンシップのブラックプールにローン移籍して武者修行。現時点では再度のローン移籍を拒否しており完全移籍を志願しています。この年代でヘイル・エンドの最高傑作などと言われても、その後、順調に成長する保証はまったくないため、契約延長にサインしないのであれば放出もやむを得ません。クラブは buy-back clause を盛り込もうとしているようですが、いずれにせよ今後、どのようなキャリアを歩むかは注目して追っていきたいです。

 

2)サンビ・ロコンガ

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2021年夏にアンドレヒトより加入しました。アルテタがシティ時代に知己を得たコンパニーからの推薦や、若干21歳でゲーム・キャプテンを務めていたこともあり未来のヴィエイラと期待されての加入でした。

ミドルレンジのパス精度が高く、ファーストフェーズやセカンドフェーズでのビルドアップ、そこからの前進パスやキャリーが最大の持ち味の選手です。中盤で簡単には当たり負けしないフィジカルも備えています。

2021/22シーズン前半にジャカやパーティーが故障離脱した際にはダブルボランチの一角として、同シーズン後半や2022/23シーズン前半にはアンカーあるいは左インサイドハーフの位置で起用されたりもしましたが、ファンを納得させるパフォーマンスを示すには至りませんでした。ビルドアップより守備面でのインテンシティの低さやポジショニングの悪さが批判を浴びました。All or Nothing でも取り上げられていましたが、試合に出られず自信も失っていたようですね。

2022/23シーズン後半には自信を取り戻すべくクリスタル・パレスに半年間のローン移籍。同じポジションのレジェンドであるパトリック・ヴィエラに請われての移籍でしたが、成績不振によりヴィエラが解任され、当初の青写真は完全に崩れてしまいました。現在のアーセナルに復帰しても出場機会を得るのは難しく、このまま退団するのかもう1年ローン移籍するのか、今後の行方が注目されるところです。片道切符のローン移籍でしたが当初の予想を覆せるとしたらロコンガかもしれないので頑張ってほしい気持ちもあります。

 

3)グラニト・ジャカ

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2016年夏にボルシア・ミュンヘングラードバッハより加入。アーセナル加入以来、Deep-lying-playmakerとして長らく活躍してきました。止める蹴るの基礎技術が高く、プレッシャーがかかる場面でも逃げずにボールをもらいにいく勇気をあわせ持っています。チームメイトを鼓舞したり、ビルドアップを安定化させる上で不可欠な存在だったため、アーセナルを指揮した監督全員に優先的に起用されてきました。左足のキックは精度・威力ともに素晴らしく、ライン間にくさびのパスを通す、ロングレンジのパスを左右に散らす、強烈なシュート、通称 ”ジャカ砲” をゴールに突き刺すなど様々な場面でファンを唸らせます。

ゲームを読む力やポジショニングセンスの高さは攻守両面で遺憾なく発揮されます。守備では、最終ラインの前に立ちふさがりDFブロックに蓋をかぶせたり、時には最終ラインに入って相手の攻撃をはじき返します。チーム内に故障者がでると左FBを急遽まかされたこともありますが、卒なくこなしていました。サッカーIQの高さがうかがえますね。90分走り続けても落ちない持久力と故障につよい耐久性も特筆すべき点です。

アーセナル加入以来、中心選手として一貫して試合に出場してきたジャカですが、ファンとの関係は決して順風満帆とはいえませんでした。むしろ正反対だったと言えるでしょう。アジリティに難があり1対1の競り合いで危険なタックルやファールをすることが多く、大事な場面でPKを与えたり退場することが多く、それらが繰り返されることでファンのあいだに鬱憤がたまっていきました。「激しいタックルは自分の持ち味」とプレースタイルを変えようとしない頑固な性格や、ITWGX (If That Were Granit Xhaka) という言葉が生まれるくらい審判に目をつけられた(?) のも災いしました。家族をも標的としたオンライン上の誹謗中傷にまで発展し、2019年9月のクリスタル・パレス戦にてファンとの関係が決定的に崩壊。同年12月にはヘルタ・ベルリンとの契約書へのサインを残すのみという状態にまで至ったのは周知のとおりです。約1年前からジャカが当時の心境について語るようになりましたが涙無しには見られません。

 

アルテタがジャカを遺留してどん底の状態から復活に導いたのはよく知られている話ですが、チームの構造が整備されるに従ってジャカのプレーの幅が広がっていったことも無視できません。もともとボディ・アングルを小刻みに変える動きや重心の低い鋭いターンで相手をいなすプレーが得意でないため、プレス耐性に難を抱えていました。今でもそれらのプレーが得意な訳ではありませんが、相手とボールの間に身体を入れてファールをもらうプレーを身につけたり、数メートルでも前にボールをキャリーする意識を高めたりしました。その上、2021/22シーズン中盤に基本フォーメーションが433に切り替わると左IHとして相手ゴール前にも積極的に顔を出すようになり、2022/23シーズン前半はチームの快進撃の立役者ともいえる活躍。アーセナル加入以来、最多となるゴール・アシストも記録しました。

2019年9月にどん底にまで落ち込んだファンとの関係も徐々に回復。2022年4月のマンチェスター・ユナイテッド戦で3点目のゴールを決めたシーンはファンとの関係を完全に取り戻したことを象徴するシーンでした。

グーナーとの関係を取りもどしたジャカは今夏に新しいチャレンジを求めてレバークーゼンに旅立つ見込みです。個人的には引退までアーセナルに残ってビッグタイトルを壇上で受けとり掲げてほしかったですね。仮にアーセナルに留まりビッグタイトル獲得に貢献していたら...その場合でもHOFプレイヤーにはなれなかったでしょうが、ファンとの関係性の回復の象徴としてエミレーツに銅像を建ててもよいのではないかとすら思います。

最後にジャカの新しい門出を祝い、ジャカとアーセナルFCあるいはグーナーとの絆をホイットニー・ヒューストンに歌っていただきましょう!