ラリーガFFPとバルセロナ(前編)
放映権を売却? F. デヨングも放出?
バルセロナを取りまく話題は相変わらず多いですね (笑)。海外サッカーファンなら一度は耳にしたことがあるバルセロナの経営問題。前会長バルメトウ時代の放漫経営にコロナ禍が直撃、抱えた負債は衝撃の €1.4b! すでに債務超過状態でふつうの会社なら倒産していてもおかしくないです。
バルセロナを苦しめるサラリーキャップ
メッシ放出を余儀なくされたり、選手や固定資産の売却に迫られている大きな要因の1つがラリーガの Economic Cost Control(ECC)と呼ばれる仕組みです。ラリーガFFPとかサラリーキャップと呼ばれたりもしますね。コロナ禍以前から慢性的に経営問題を抱えているラリーガ・クラブの経営破綻を予防する目的で2013年に導入されました。
複雑難解な Economic Cost Control
ECCのルールは「クラブ/SADの予算作成に関する基準」(ECC規則)として文書化されています。ラリーガのホームページにもスペイン語版と英語版が公開されています。しかし、付録を含めると250ページ以上にも及ぶ文書。全体像の理解はとても大変です。
先日、筆者は英語版にひととおり目を通す苦行にチャレンジしました。細かい部分については分からないことだらけですが、大枠は概ね理解したつもりです。折角の機会なのでバルセロナが置かれた状況と照らし合わせつつECCの内容について解説してみたいと思います。
この記事の内容
記事は前編と後編の2つに分かれます。前編ではECCの基本的な仕組み、更には21/22シーズンのバルセロナのサラリーキャップ(スカッドコスト上限)がマイナスになった理由について解説します。後編では選手獲得における25%ルールやサラリーキャップをあげる手段、更にはバルセロナが選手放出や放映権・固定資産の売却を迫られている理由について解説してみたいと思います。
1.Economic Cost Control はどんな仕組み?
スカッドコストの管理
ECCはクラブの赤字を未然に防ぐための仕組みです。UEFA の FFP *1 が過去3シーズンの決算を後から審査するリアクティブな仕組みだったのに対し、ECCは新シーズンの予算を事前に審査するプロアクティブな仕組みです。
ECCが対象とするのはラリーガの1部と2部Aに参加するクラブです (A2)。仕組みの肝はスカッドコスト(Squad Cost; SC)の管理にあります (A4) 。SCの詳細は2で説明しますが、ここでは選手・スタッフからなるチームの給与と減価償却費 *2 を含む総人件費と考えてください。
ラリーガは新シーズンが始まる前にすべてのクラブに予算(ラリーガ予算)を提出させます。ラリーガが設置した検証機関はその中身を審査した上で、クラブの収支が赤字とならないスカッドコストの上限(Squad Cost Limit; SCL)を次の考え方に従って設定します。
以上がECCの基本的な仕組みです。現実のルールはもう少し複雑ですが「SCをSCL以下に抑えれば黒字になりやすく経営破綻しにくい」というシンプルな発想にもとづいています。
もちろん現実は想定どおりに行きません。経営状態が急激に悪化してSCがSCLを超過するクラブが出てくる場合があります。移籍市場で思うように選手を放出できない場合もあります。そうしたケースへの対応の仕方については2以降で見ていきます。
2.スカッドコスト上限の算定
以下、SCLの決め方について詳しく見ていきます。
ラリーガ予算
ラリーガでは7月1日から6月30日をシーズンの区切りとしています (A10)。クラブは新しいシーズンに先立ち、以下の4種類で構成されるラリーガ予算(The LaLiga Budget)を提出する必要があります (A8)。
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収支予算(Revenues and Expenditure Budget, A14)
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投資予算(Investments and Divestments Budget, A15)
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資金調達予算(Financing Budget, A16)
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月次予算(Treasury Budget, A17)
財務諸表との対応でいうと 1. の収支予算は損益計算書と貸借対照表で、4. は月次のキャッシュフロー計算書です。2. は投資計画、3. は資金調達計画になります。
ラリーガ予算の提出にあたり、新シーズンの予算に加えて、直前3シーズンの決算(作成・提出時に進行中のシーズンは決算見込)や移籍収支に関する情報も提出する必要があります (A18)。これらもSCLの算定で用いられます。
収支予算(損益計算書)
ラリーガ予算の中でもっとも重要なのは収支予算です。ECCでは書類作成コストを軽減する措置が図られていますが (A22-23)、収支予算だけはすべてのクラブが提出を義務付けられています。
収支予算のうち損益計算書では、クラブは営業収益(Net Turnover)として、1) 大会収入(チケット代・賞金)、2) 会員費、3) 施設収入、4) 放映権収入、5) マーケティング収入(グッズ・スポンサー)、6) 広告収入、を計上します。一方、営業費用としては 1) スポーツ部門人件費、2) 非スポーツ部門人件費、3) その他の営業支出(外部サービスへの委託費など)を計上します。
営業収益と営業費用の差がいわゆる EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)です。EBITDA から利息や税金、選手登録権(Federative Player Rights)と固定資産の減価償却費を差し引き、選手登録権と固定資産の売却損益を加えたものが最終利益になります。
スカッドコスト
スカッドコストはスポーツ部門の総人件費を指します (A34)。クラブはトップチーム以外にリザーブチームやアカデミーを運営しています。11人制の男子サッカー以外に女子チームやフットサル、バスケットのチームを運営している場合もあります。SCはそれら全てのチームの選手・コーチ・トレーナーの人件費です (A38)。構成する費用項目は以下のとおりです (A39) 。
11人制サッカーの男子トップチーム(ラリーガの1部と2部Aに参加しているチーム)に限定した総人件費を登録可能SC(Registrable Squad Cost)、それ以外のチームの総人件費を登録不可能SCと呼びます(A35)。
損益分岐点
クラブは損益分岐点を守る義務を負っています (A42)。赤字にしてはならないという意味とほぼ同義ですが、次の条件を用いて判定します(標準的なクラブの場合、A44)。
シーズンTの最終利益は収支予算による見込額です。第2項と第3項は ”直前2シーズンで赤字だった場合はシーズンTはその分だけ黒字にしなければならない” ことを、第4項は ”直前2シーズンのいずれかで黒字だった場合はシーズンTはその分だけ赤字でもよい” ことを意味します*3。
資本注入は増資や寄付といった条件や返済が設定されていない資金の投入を指します。判定式の第5項は "資本注入が予定されている場合はシーズンTはその分だけ赤字でも構わない” ことを意味します*4。資本による資金調達は負債と異なり返済義務がありません。経営破綻につなながるリスクが小さいため、資本注入による赤字補填が認められています。
スカッドコスト上限
ラリーガはクラブが損益分岐点を守ることのできる最大額のSCをSCLとして設定します (A49, A59)。シーズンTの最終利益について次の関係式が成り立ちます。
これを先ほどの損益分岐点の判定式に代入すると次の不等式が求まります。
上の不等式はSCが左辺の値より小さい場合に損益分岐点が守られることを意味します。これより左辺の値をSCLとして設定すればよいことが分かります。
登録可能スカッドコスト上限
検証機関はクラブ別にSCLを計算したあと、各クラブのSCに占める登録可能SCの割合などにもとづいて、登録可能SCの上限である登録可能SCLを決定します (A35, A56) 。登録可能SCLの決定にあたってはアカデミーや女子チームの運営・発展に悪影響が及ばないように配慮します。
ECCは11人制男子サッカーのトップチームを対象とするサラリーキャップの仕組みです。1でECCは ”SCをSCL以下に保つこと” をすべてのクラブに要求する" と述べましたが、これは正確ではありません。正しくは ”登録可能SCを登録可能SCL以下に保つこと” を要求します。
以下では分かりやすさを優先し、登録可能SCと登録可能SCLをSCならびにSCLと呼んで区別しないことにします。厳密性を優先すると表記が煩雑になり、複雑な内容がさらに分かりにくくなるからです。
スカッドコストの管理
すべてのクラブはSCをSCLより低い水準に保たせるため、新たに選手を獲得してもSCがSCLを上回っている場合、ラリーガは選手登録を原則として認めません (A93)。ECCを厳密に運用するため "La Liga Manager" と呼ばれるオンラインアプリを導入しています。
スカッドコスト上限へのペナルティ
SCLの決め方は上で述べたとおりですが、クラブが損益分岐点を守らなかった場合やSCをSCL以下に維持できなかった場合、違反の程度に応じて翌シーズン以降のSCLが減額されます。大きく分けて2つのパターンがあります。
1つはSCをSCLより低い水準に維持したにも関わらず損益分岐点を守れなかった場合です。当初の想定より低い収益しか得られなかった場合などが該当します。この場合、検証機関の決議により、損益分岐点を超過した金額に応じて翌シーズン以降のSCLが減額される可能性があります。
収益の5%以上に相当する金額で超過した場合にはSCLの15%、1-5%の範囲で超過した場合には5%を削減することがECC規則により認められています (A59)。ただし、コロナ禍に端を発する経営危機のなかで検証機関がこうした決議を行っているかは定かでありません。
もう1つはシーズン開始時点でSCがSCLを上回っていてシーズン終了までその状態を解消できなかった場合です。SCLの超過額(=SC-SCL)が翌シーズンのSCLから自動的に差し引かれるようです (A100)。詳しくは後編で解説しますがこのペナルティはバルセロナが置かれている苦しい状況に大きく影響しています。
3.ECC運用のスケジュール
次にラリーガ予算の提出からSCL決定までのスケジュールについて見てみましょう。
ラリーガ予算の提出とSCLの決定
クラブは4月30日(財務的・経済的に健全なクラブは5月31日)までに新しいシーズンのラリーガ予算を提出する必要があります (A27)。ラリーガは内容を審査した上で、承認する場合は5月31日までにSCLを決定して各クラブに通達します。承認しない場合は6月15日までに追加情報や説明文書を再提出させて (A52)、そこから10日以内に当該クラブのラリーガ予算に修正を加えてSCLを決定・通達します (A53, A58)。
初期SCの計算と25%ルール適用の判定
クラブは7/1から7/10までの期間に7/1時点にチームに在籍する選手・スタッフの契約内容に基づくSCを計算してラリーガに提出します (A94)。新シーズンが開始する7月1日時点におけるSCのことを初期SCと呼びます(Initial Squad Cost, A96)。
7月1日は既に夏の移籍ウィンドウが開いています。初期SCがSCLを下回っているクラブは、SCをSCL以下に保っていれば自由に選手の移籍や契約延長を行えます。一方、初期SCが7月1日時点でSCLを上回っているクラブは選手獲得や契約延長が厳しく制限されます。後編で詳しく解説します。
SCとSCLの更新
SCは選手・コーチの移籍や契約延長があるたびにリアルタイムで更新されます (A98)。
SCLは2つのパターンのいずれかで更新されます。1つは移籍ウィンドウ終了時です (A59.3)。シーズン開始前に提出された収支予算に計上された売却損益は見込額なので、これを実績額に置き換えてSCLを計算し直します。計算結果は移籍ウィンドウが閉じてから1か月ほど経過した時期に毎年公表されます。
もう1つはクラブが申請するケースです (A79, A91)。ラリーガ予算の作成時に考慮していなかった収益や資本注入があった場合にSCLの更新を申請できます。詳しくは後編で解説します。
4.マイナスのサラリーキャップ?
21/22の冬の移籍ウィンドウが閉まった後、ラリーガがSCLを公表しました。そこで明らかになったのが、バルセロナのSCLがマイナス€144mという衝撃の事実です。一体全体どうやったら総人件費をマイナスにできるというのでしょう。前編の最後にこれまでのおさらいも兼ねてバルセロナのSCLがマイナスに陥った理由を考察してみましょう。
スカッドコスト上限の推移
過去3シーズンのラリーガ3強のSCL( = 登録可能SCL + 登録不可能SCL)の推移は下の図の通りです。
レアルが1年でV字回復を成し遂げて21/22シーズンにはコロナ禍前の19/20シーズンを上回っているのに対し、アトレティコとバルセロナは悪化の一途をたどっています。特にバルセロナの悪化が顕著です。
過去に例をみない最終赤字の影響
下の図はラリーガ3強の過去2会計年度 (欧州サッカークラブの一般的な会計年度は7/1から6/30(又は6/1から5/31)で会計年度とシーズンが対応しています。19/20と20/21については特殊で19/20シーズンの約10試合が20/21会計年度に入ってから実施されたため、19/20年度の放映権収入が通常の7-8割なのに対し、20/21年度は通常の2-3割増しになっています。) の最終利益と収益の内訳です。バルセロナの20/21年度は欧州サッカー界を見渡しても過去に例をみない481m€もの赤字決算となっています。
新型コロナウィルス感染症によりほぼ全ての試合が無観客で行われてチケット収入が減ったのに加えて、商業収益や選手登録件の売却益も大幅に減っています。さらに、バルセロナはコウチーニョやウムティティといった明らかに簿価が市場価格より高い選手達について減損処理を行っており、その費用が赤字の拡大に貢献しています(OTHERの€330mの一部)。
2で解説したとおり、過去2年の赤字はSCLの減少要因となります。バルセロナのSCLがマイナスとなった一番の理由が20/21に計上した巨大な赤字なのは間違いありません。
2の損益分岐点の注でも触れていますが、20/21の赤字は21/22のSCLの計算で既に使用されたため、22/23のSCLの計算には使用されません。ただし、21/22のバルセロナはCLのグループステージで敗退したり、チケット収入が依然として元に戻っていないため、約€150mの赤字を計上することが見込まれています。
この赤字は債務超過状態を悪化させるのに加えて、22/23のSCLの減少要因となります。このままだとバルセロナは22/23も移籍市場で複雑な立ち回りを求められます。
ちなみにレアルマドリードはCOVID19の影響を直撃した過去2会計年度のいずれにおいても驚異の均衡収支を達成しています。チケット収入の大幅な減少を選手登録権の売却益や商業収益をコロナ禍でも増やすことで相殺しており、21/22のSCLはコロナ禍前の19/20のSCLを上回っています。
黒字転換しても抜け出せない?
バルセロナはこのままだと21/22も赤字なので22/23もECCによる厳しい縛りを受けるはずです。それでは22/23にピッチ上で好成績をあげたりSCを大きく削減すれば23/24以降はそうした縛りから抜け出せるのでしょうか。ECC規則を読むかぎり否です。
2のスカッドコスト上限へのペナルティで触れた通り、21/22のSCがSCLを超過した分だけ22/23のSCLから差し引かれる可能性があります。通称25%ルールを定めているECC規則の第100条5項に以下の通り書かれているからです。
The resulting excess amount of the Club/SAD by virtue of applying this clause shall be subtracted from the limit of the Registrable Squad Cost obtained in the Budget Break-even for the following Season (T+1).
下の図はバルセロナとレアルマドリードのSCとSCLの推移を表したものです。バルセロナの21/22の最終的なSCは確定していませんが、メッシやグリーズマンの移籍で20/21より減ったものの、ピッチ上での不振により冬にF.トーレスらの獲得するなどしたため、依然としてレアルマドリードより大きいそうです。
仮に21/22のSCがレアルマドリードと同水準だったとします。上記の条項どおりにペナルティが課されると約€700mが22/23のSCLから差し引かれることになります。その場合、22/23もSCがSCLを大きく超過することは確実です。そうした状態がそのあとも数年にわたって解消されないのも確実でしょう。ラリーガのコーポレート部門ゼネラルマネージャーのゴメス氏も ”何もしなければ今後数年間にわって制限が課される" と述べています。
後編に向けて
現在、バルセロナはリテールの子会社であるBLM(バルサ・ライセンシング&マーチャンダイジング)の経営権や将来の放映権の一部売却に向けて積極的に動いています。またF.デヨングの放出もマンチェスター・ユナイテッドとの間で交渉が進められてます。
後編ではSCがSCLを超えた場合に課される通称25%ルールとSCの超過状態を解消するための方法について解説します。さらにバルセロナが現在計画している資本注入の効果についても解説したいと思います。
参考資料
原文にあたろうという奇特な方のためにECC規則の全体構成と目次を載せておきます。
ECC規則の全体構成
タイトルI(総則)には目的や適用範囲が書いてあります。
タイトルⅡ(クラブ/SADが準備・提出すべきラリーガ予算とその他の情報)ではラリーガ予算の内容と作成基準、提出・承認・検証などの手続き、ECCルールの根幹をなす損益分岐点の定義やSCLの設定ルールを定めています。
タイトルⅢ(SCLの修正)では、選手登録権やその他の固定資産の売却、放映権料の値上げ、クラブ/SADによる増資、などによりSCLを修正する場合のルールを定めています。
タイトルⅣ(選手・トレーナーの登録に関する予算管理)では、SCLと選手登録に関するルールを定めています。バルセロナの移籍オペレーションを難しくしている通称25%ルールは第100条で定められています。
タイトルⅤ(検証機関と一般的手続きルール)では、検証機関と不服申し立て手続きについて定めています。
付録では、用語の定義やラリーガ予算の標準フォーマット、各予算項目の査定基準などを整理しています。
ECC規則の目次
コンテンツ・プリアンブル(まえがき)
タイトルⅠ 総則
第1条 規則の性質と拘束力
第2条 本規則の適用範囲
第3条 2部Bから2部Aに昇格したクラブ/SAD
第4条 規則の目的と目標
第5条 守秘義務
第6条 用語・表現の定義
第7条 付属書
タイトル II クラブ/SAD が作成・提出すべきラリーガ予算とその他の情報
第1章 クラブ/SAD が作成・提出すべき予算とその他の情報
第1節 ラリーガ予算・追加情報・説明文書の作成・提出に関する義務
第8条 提出書類:ラリーガ予算・追加情報・説明文書・規則遵守承諾書
第9条 グループ企業の連結
第10条 ラリーガ予算の期間
第11条 ラリーガ予算の性質
第12条 ラリーガ予算の構成と形式
第13条 ラリーガ予算準備の原則:昇降格とUEFA大会参加
第2節 ラリーガ予算の構成と内容に関する追加ルール
第14条 ラリーガ収支予算(付録I)
第15条 ラリーガ投資予算(付録II)
第16条 ラリーガ資金調達予算(付録III)
第17条 ラリーガ月次予算(付録IV)
第3節 追加情報・説明文書・規則遵守承諾書
第18条 ラリーガ予算に付随する追加情報
第19条 説明文書
第20条 規則遵守承諾書
第4節 ラリーガ予算検証のための定期的情報
第21条 検証手続き
第5節 許容される財務的・経済的比率
第22条 許容される財務的・経済的比率を適用する前提条件
第23条 許容される財務的・経済的比率を提出するクラブ/SADの義務
第24条 許容される財務的・経済的比率
第25条 許容される財務的・経済的比率の要求と検証
第6節 更新されたラリーガ予算
第26条 参加大会のカテゴリー変更に伴い更新されたラリーガ予算
第2章 ラリーガ予算・追加情報・説明文書・規則遵守承諾書の提出期限
第27条 ラリーガ予算・追加情報・説明文書・規則遵守承諾書の提出期限
第28条 2部Aに昇格した場合の特別提出期限
第29条 修正後のラリーガ予算の提出期限
第30条 許容される財政的・経済的比率を満たすクラブ/SADの提出期限
第3章 ラリーガ予算・追加情報を構成する予算項目の査定
第1節 原則・基準・査定ルール
第31条 ラリーガ予算・追加情報を構成する予算項目の査定基準とルール
第32条 査定基準・ルールの適用原則
第33条 代替的査定
第2節 スカッドコスト・損益分岐点・比例原則・リミット
第34条 SCと損益分岐点
第35条 登録可能SCと登録不可能SC:比例原則
第36条 SCに占める割合に応じた登録可能SCL
第37条 リザーブチームの昇格に伴う登録不可能なSCの修正
第3節 スカッドコスト構成項目の査定額決定のための具体的な基準とルール
第38条 登録可能スカッドと登録不可能スカッドの定義
第39条 登録可能SCの決定
第40条 選手・コーチの変動報酬の修正
第41条 2部に参加するクラブ/SADの選手・コーチの報酬に関する登録可能SCの査定に関する特別規則
第4章 損益分岐点
第1節 収支予算における損益分岐点の遵守義務とクラブグループ
第42条 収支予算における損益分岐点の遵守義務
第43条 収支予算の損益分岐点決定のためのクラブ/SADのグループ分類
第2節 クラブ/SADの各グループにおける収支予算の損益分岐点
第44条 各グループにおける収支予算の損益分岐点の決定
第45条 収支予算が正の場合の特別ルール
第46条 承認された債権者協定の下、他のクラブ/SADに対する請求により認められた減額に起因する損失の調整に関する特別ルール
第47条 債権者協定で承認された減額に起因する経営破綻クラブ/SADの収入の調整に関する特別ルール
第47条2 2部に参加するクラブ/SADのための特別ルール
第47条3 監査済み年次決算に基づく損益分岐点と新SCLの割り当て
第47条4 第43条のグループB/Cに分類されるクラブ/SADが1部の存続条項に基づく追加的支出を伴う場合の損益分岐点の計算に関する特別ルール
第3節 月次予算の損益分岐点
第48条 月次予算の損益分岐点
第5章 ラリーガ予算の承認・検証およびスカッドコストリミットの割り当て
第1節 一般原則
第49条 ラリーガ予算の承認・検証と参加大会
第50条 代替ラリーガ予算
第51条 暫定的な条件付承諾
第52条 提出されたラリーガ予算の承認・不承認の期限
第2節 提出されたラリーガ予算の修正
第53条 評価基準およびルールに従わない場合の予算項目の査定額の修正
第54条 作成時の前提や仮定に合理性がない場合の予算項目の査定額の修正
第55条 昇格・降格するクラブ/SADの予算に対する検証機関の修正権限
第56条 登録可能SCと登録不可能SCの間の比率の修正
第57条 新たな情報を得た場合における承認済みラリーガ予算の修正
第58条 検証機関が決定した修正内容の通知
第3節 スカッドコストリミットの配分
第59条 SCLの配分と比例性
第59条2 降格クラブ/SADのSCL
第4節 選手登録権の譲渡でシーズンTの夏期移籍ウィンドウ終了時に実際に得た純益に基づくスカッドコストリミットの修正
第59条3 選手登録権の譲渡でシーズンTの夏期移籍ウィンドウ終了時に実際に得た純益に基づくSCLの修正
第59条4 選手登録権の譲渡でシーズンTの夏期移籍ウィンドウ終了時に2部のクラブ/SADが実際に得た純益に基づくSCLの修正
タイトル III スカッドコストリミット修正
序 共通ルール
第60条 導入と共通ルール
第1章 収益・利益の増加に伴う登録可能スカッドコストリミットの修正
第1節 スカッド選手の選手登録権の譲渡契約のケース
第61条 状況の定義と登録可能SCLの修正ルール
第62条 修正の計算
第63条 クラブ/SADが証明すべき情報
第2節 選手登録権以外の固定資産の新規売却契約のケース
第64条 該当する状況と登録可能SCLの修正ルール
第65条 クラブ/SADによって認証されるべき情報
第3節 価格の値上げを伴う放映権の譲渡契約のケース
第66条 該当する状況と登録可能SCLの修正ルール
第67条 クラブ/SADによって認証されるべき情報
第4節 その他の権利・資産に関する新規マーケティング契約のケース
第68条 該当する状況と登録可能SCLの修正ルール
第69条 クラブ/SADによって認証されるべき情報
第5節 シーズンチケット・会員権からの収入増のケース
第70条 該当する状況と登録可能SCLの修正ルール
第71条 クラブ/SADによって証明されるべき情報
第2章 選手・コーチングスタッフとの契約変更ならびに選手の長期故障離脱による登録可能スカッドコストリミットの一時的超過
第72条 登録可能SCLの一時的超過が認められる例外的な状況
第1節 選手の契約更新とコーチングスタッフの契約解除を伴う場合
第73条 選手の契約更新についての該当する状況と認められる一時的超過
第74条 コーチングスタッフの契約解除についての該当する状況と認められる一時的超過
第75条 登録可能SCLの一時的超過の最大値:例外
第76条 一時的超過の補償措置:シーズンT+1のSCLの修正
第2節 選手の長期故障離脱の場合
第77条 選手の長期故障離脱の場合
第3節 本章第1/2節で定めされた登録可能スカッドコストリミットの修正が承認された場合の修正
第78条 本章第1/2節で定められた登録可能SCLの修正が承認された場合の修正と補償
第3章 第1/2章に定める状況における登録可能スカッドコストリミットの修正又は一時的超過の申請手続きと検証・確認
第79条 登録可能SCLの修正又は一時的超過の申請
第80条 検証確認
第4章 クラブ/SADへの資本注入によるスカッドコストリミットの修正
第1節 一般原則
第81条 資本注入によるSCLの修正
第2節 資本注入の概念
第82条 資本注入の概念
第3節 一般的削減と量的制限
第83条 SCLの修正計算に利用可能な資金注入額の一般的削減と量的制限
第4節 スカッドコストリミットの修正を目的とするクラブ/SADへの資本注入の量的制限
第84条 目的
第85条 資本注入とSCLの修正計算に用いる基準適用のためのグループ分類
第86条 降格の予想
第87条 資本の調整
第88条 資本注入をSCLの修正に適用できない状況
第89条 資本注入による登録可能SCLの修正
第5節 半年ごとの報告義務と修正
第90条 半年ごとの報告義務と修正
第6節 資本注入を受けてスカッドコストリミットの修正を要請する手続き
第91条 資本注入を受けてSCLの修正を要請する手続き
第4章2 降格に伴う支援金の受給もしくは利益・収益が一定の条件を満たす2部クラブ/SADにおける修正の特例
第91条2 降格に伴う支援金の受給資格のあるクラブ/SADのSCLの修正
第91条3 利益・収益が一定条件を満たす2部A参加クラブ/SADのSCLの修正
第5 章 スカッドコストリミットの修正の事前認可
第92条 SCLの修正の事前認可
タイトル IV 選手・トレーナーの登録に関する予算管理
第1章 総則
第93条 登録可能SCLと選手登録に関する一般原則
第2章 初期スカッドコスト
第94条 シーズンT-1におけるSCの実績額の報告義務とその他の義務・制限
第95条 第94条の報告義務履行の代替手続き:検証機関への直接の出頭
第96条 シーズンTにおける初期登録可能SC
第97条 第三者により選手・コーチへの支払・報酬・補償が行われていないことの遵守声明
第3章 初期登録可能スカッドコストの更新
第98条 登録可能SCの更新
第4章 選手登録の予算管理手続き
第99条 予算管理のための選手登録手続き
第100条 登録可能SCLを超えるクラブ/SADに関する特別規則
第100条2 21/22に承認された戦略的事業と資金調達に関する特別規則
第101条 夏季移籍ウィンドウ終了後の契約更新に関する特別規則
第102条 SCLを超える可能性のあるクラブ/SAD
タイトルV 検証機関と一般的手続きルール
第1章 検証機関
第1節 検証機関の性質・構成・役割
第103条 性質と役割
第104条 構成・要件・任命
第105条 役割と権限
第2章 検証機関に直接出頭する場合の手続き
第1節 手続き
第106条 手続きの管理運営
第107条 対話と通知:許可された代理人
第108条 期限の計算
第2節 不服申し立て
第109条 査定基準とルールの適用行為に対する不服申し立て
第110条 その他の不服申し立て
最終規定
ペナルティーシステム
ラリーガに加盟するクラブの執行委員会の保証と効力発生
損益分岐点の計算における女子フットボール関連支出の特別ルール(暫定)
付録
用語と表現の定義
付録1 ラリーガ収支予算
付録1.1 シーズンT-1の損益計算書(見込)
シーズンT-2/T-3の同計算書の情報
付録1.2 シーズンT-1の6/30時点の貸借対照表(見込)
シーズンT-2/T-3の同表の情報
付録1.3 ラリーガ収支予算の要約版
付録2 ラリーガ投資予算
付録3 ラリーガ資金調達予算
付録4 ラリーガ月次予算
予算項目と査定基準とルールの付録 (ラリーガ収支予算)
標準報告書フォーマットの付属書
標準報告用フォーマット
*1:UEFAのFFPは22/23シーズンから新しい Financial Sustainability Regulation に切り替わっていきます。
*2:損益計算においては、ある選手の獲得に要した移籍金を(一括払いであろうが分割払いであろうが)減価償却費として契約期間内に配分して計上します。選手売却時は「移籍金額とその時点における選手登録権の簿価の差」を売却損益として計上します。損益計算とキャッシュフローの違いの理解はフットボール会計を理解する上でのはじめの一歩といえます。
*3:シーズンT-2の最終利益の一部がシーズンT-1の損益分岐点の計算で用いられている場合、まだ使われていないシーズンT-2の最終利益のみがシーズンTの損益分岐点の計算で用いられます。
*4:資本注入は複数年度にわたって分散させることができます。例えば、シーズンT-1に行われた資本注入の一部しかシーズンT-1の損益分岐点の計算に使用しなかった場合、まだ使われていないシーズンT-1の資本注入をシーズンTの資本注入に算入することが認められています。