2004年にチェルシーのオーナーに就任したアブラモビッチの資産凍結とクラブ売却の背景についてまとめたスレッドの紹介記事になります。
アブラモビッチのチェルシー売却についての再考: チェルサポのアイデンティティ危機と原罪
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
オーナーシップを巡る騒動によりチェルサポのアイデンティティが揺れている
以下では、ファンのアイデンティティとクラブのオーナーシップについて考察
1/https://t.co/qX1E9fia8M
表題にある ”原罪” はキリスト教の教理
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
アダムとイブが禁忌をおかし神は人類に苦しみを与えた
"原罪" とは “人類最初の罪” であると同時に、その後の人類が抱える ”苦悩の根源”
チェルサポの苦悩の根源 (原罪) はどこにある?
2/https://t.co/0kE2aSCSOA
1. アブラモビッチと政治
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
(1) エリツィンとのつながり
再選への協力の見返りとして国営の石油会社を二束三文の価格で買収、後に売却して僅か数年で莫大な財産を構築
腐敗政治の下で大勢のオリガルヒが生まれ、人類史上でも最大規模の国家財産の強奪と呼ばれている
3/https://t.co/M0T1p9RXGz
(2) プーチンとのつながり
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
謎に包まれており英政府も十分把握できていないようである
エリツィンに後継候補として推薦した1人、高級ヨットを寄贈した、などの噂がある
裁判では英判事が ”VPと very good relations にあり privileged access をもつ” と指摘
4/https://t.co/WTeX7Sg74C
VPによる資産没収を避けるため、距離を置きながら機嫌を損なわないように振舞っている、との指摘もある
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
英政府によるビザ取消処分後に🇮🇱と🇵🇹の国籍を取得したが、VPを恐れたためとされる
5/https://t.co/VUX5taNLlB
訂正:ビザ取消処分ではなく元スパイ殺害事件で英露の緊張関係が高まる中で失効したビザの再発行が困難になった。
(3) ロシアW杯
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
FIFA調査団報告書で下から2番目のロシアが誘致に成功 (最下位の🇶🇦が2022年開催国)
選考プロセスの不透明性や贈収賄の可能性、開催目的 (SW) の正当性が問題視された
RAは誘致活動で重要な役割を果たした
6/https://t.co/JSXE4OVBKT
2. チェルシー買収の動機
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
3つの動機が考えられる: 1) 道楽, 2) マネーロンダリング, 3) ロシアのイメージアップ
(1) 道楽
これまでのクラブへの関わり方を見る限り、フットボールに愛情を持っており、自身の道楽の一環として買収した可能性は高い
7/ pic.twitter.com/HFG7rmgO7y
(2) マネーロンダリング
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
“英国内の資産への組み換え (マネー・ロンダリング) を図り、同時に世界中のファンの注目を集めることでVPが手出しできないようにした” とする説である
オリガルヒに対する制裁が始まった時期とも重なっており説得力がある
8/https://t.co/eXe29bSpij
(3) ロシアのイメージアップ
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
ガスプロム等の国営企業をスポンサーとしておらず、ロシアのイメージアップのために買収したとする説は説得力がそれ程ない
ただし、VPの指示でW杯誘致の橋頭保としてCFCを買収した可能性がある (🇦🇿などの権威主義国家が誘致に積極的)
9/https://t.co/ctvUf2Fo9K
3. チェルサポの原罪
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
苦悩の根源 (原罪) はどこにある?
(1) 競技バランスの破壊
マネーゲーム化により ”結果が分からないから面白い” というスポーツの本質から大きく乖離してしまった (クラブ規模やリーグ成績の固定化)
RAはそうした動きに先鞭をつけた1人
10/https://t.co/hWvAZpVvCY
当時は資金投入の制限がなかったのでCFCがルールに違反した訳ではない
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
とはいえ ”スポーツの理念と照らし合わせてフットボールはいかにあるべきか?” という問いを真剣に考える必要があるだろう
11/
(2) 強化資金の正当性
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
(1)より重要な論点が ”RAの投じた資金の正当性”
RAの財産はロシアの腐敗政治を利用して国民から強奪して得たもの
ダーティーな資金によりクラブが強化されたとして ”それを誇ってよいのだろうか?”
12/
(3) スポーツ・ウォッシング
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
ロシアのイメージアップを意図してRAがCFCを買収したと考えるに足る証拠は見当たらないように思える
ただし、W杯の誘致を通じてロシアのSWに寄与したのは事実だろう
VPとのつながりが不透明で今後の英政府の対応を見ないとこれ以上は判断できない
14/
一方、VPによる資産没収を回避するために買収した可能性がある
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
実際、チェルサポからの強固な支持は監視の目や盾として強力に機能したであろう
🇺🇦への連帯を示すセレモニー中にRAを称賛するサポーターがいたことは示唆的である
15/https://t.co/Sy4wmRBPJO
4. フットボールとアイデンティティ
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
ベルカンプの言葉はフットボールのアイデンティティの本質を表している
多くのチェルサポが戸惑っているのは、自らの居場所が濁っている可能性に気づき、事態の受け止め方が分からないからであろう
16/ pic.twitter.com/DKgkQ9QTwi
他サポからは冷ややかな視線を向けられ、国際平和の重大性ゆえに疑惑を無視する訳にもいかない
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
アイデンティティ危機に立ち向かう上で参考になるのがランパードのコメントである
”選手時代も監督時代も最後まで自分を信頼してくれたことは疑いようがない”
17/https://t.co/56223ismdO
資金の出所、VPとのつながり、国際社会における連帯の必要性... これらを鑑みれば RA を称賛する行為は憚られて然るべきだし、展開次第では関係の清算も求められる
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
しかし、自分が辛い時に差し伸べられた手は偽りのないものだったと感謝する
人間味のあるスマートな対応に思える
18/
チェルサポのコンテキストでいえば...
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
選手が見せてくれた素晴らしいプレーの数々は誇りとして持ち続けてよいだろう
しかし、勝ち取ったタイトルやRAの貢献を称賛する行為は控えるべきだし、展開次第ではそれらを捨て去る覚悟が求められる
ということではないか?
19/
5. オーナーシップのあり方
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
SW等の政治的思惑をフットボールに持ち込ませない対策、既に入り込んでしまった思惑を取り除く対策、等が問われている
3つの対策を比較する:1) 事前審査の強化, 2) 参入規制の厳格化, 3) 競争力の均衡化
20/
(1) 事前審査の強化
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
オーナー候補者の審査項目に "人権遵守" などを追加する案である
ないよりはあった方がよいが、人権の定義や人権の判定が難しく、実効性の担保が難しいと予想される
既に入り込んでしまった思惑を取り除くこともできない
21/https://t.co/UdnjN6hQwm
(2) 参入規制の厳格化
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
法律等により参入障壁を高くしたり、参入後の投資活動の制限によりSW目的でのクラブ保有の旨味を小さくする案である (ブンデスの51%ルール等が近い?)
(1) より実効性は高いものの、既存オーナーの権益と抵触するため、導入が非常に難しい
22/https://t.co/W9UMVBqnu9
(3) 競争力の均衡化
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
ソフトパワーが大きく資源投下量に比例して勝利確率が上がるプロスポーツは (スポーツメリット以外の動機により) 採算を度外視した行動をとる組織を引き付けやすい
昇降格に伴う放映権収入の不均衡等も博打的経営を促し、経営破綻の救済目的での巨大資本を招きいれやすい
23/
米国型のレベニュー・シェアリングやサラリー・キャップは、競争力均衡化や経営基盤安定化のための仕組みだが、政治的思惑を持った組織を不要に引き付けない上で有効
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
既存エリートクラブの猛反対が予想されるが、スポーツの理念に沿った改革であり、
24/
情報化やグローバル化による格差の再生産メカニズム (エリートクラブほど裾野の拡大の恩恵に預かりやすい) の是正にも寄与
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
数年かけての段階的導入も可能
少なくとも(2)より実現可能性が高いだろう
既に入り込んでしまった思惑に一定の歯止めをかける上でも有効
25/
6. まとめ
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
VPとの関係が最も重要な点だが表に出てこない情報が多く確定的なことが分からない
🇬🇧政府も詳細を把握しておらず、🇺🇦の惨状とRAが訴訟を起こすリスクを比較して資産凍結に踏み切った可能性が高い
この点については状況推移を見守るしかない
26/https://t.co/6pgLYSsjpx
仮にVPとのつながりが無かったとしてもRAの資産はそもそもダーティー
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
マネーロンダリングやVPに対する監視の目や盾としてCFCが使われてしまった可能性は十分ある
W杯誘致を通じて直接的/間接的にロシアのSWに関与
アイデンティティが揺らぐチェルサポにはランパードのコメントが有益
27/
今後のオーナーシップ問題への対策として、事前審査の強化や参入規制の厳格化が考えられる
— じぇふ (@arsenalitics1) 2022年3月11日
それに加えてRSやSCの導入もSW目的の新規参入を予防する上で有効
競争力の均衡化や経営基盤の安定化とセットで考えていくべき
END