ファイナンシャル・フェア・プレーの改正:FFPからFSRへ

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FFPからFSRへ

2022年4月、UEFAは2011年に導入したファイナンシャル・フェア・プレー規則FFP:Financial Fair Play Regulations)を財務的持続可能性の規則FSR:Financial Sustainability Regulations)へと改定しました*1

FFP導入の一番の目的はクラブの慢性的な赤字経営の是正でした。それを概ね達成するとともに *2、約10年間の運用やビジネス環境(フットボール産業の拡大やグローバリゼーション)の変化を経て明らかになった課題に対応するため、規則が改正されることになりました。もちろんCOVID-19への対応も理由の1つです*3

 

FFPに対する誤解と名称の変更

"Financial Fair Play" という名称は競争力の均衡化を一番の目的としているという誤解を広めてしまいました。もちろんFFPにもそうした効果はあります。しかし、一番の目的はクラブ経営の安定化です。以上の理由より今回の改正でUEFAFFPからFSRへと名称を変更しました。

 

3本の矢

FSRはクラブ経営の持続可能性を実現するための3つの柱を設けています: 1) ソルベンシー、2) 安定性、3) コストコトロール。安定性とソルベンシーはFFPでも同様の規則が設けられていました。コストコトロールは今回の改正で新たに加わりました。

FFPとFSRの対応関係

 

記事の内容

この記事ではFSRの内容について解説します。FFPFSRの基本的な仕組みはかなり似ています。急がば回れではありませんが 1.ではFFPの仕組みについて解説します。そのあと 2.においてFFPFSRの違い、すなわち今回の改正点について解説します。

FFPについては @Schumpeter さんも分かりやすく解説されています。この記事を読んだ後でさらに詳しく知りたい方にお勧めします。

 

 

1.FFPの仕組み

2層の構造:クラブライセンシングとモニタリング

FFPは "UEFA Club Licensing and Financial Fair Play Regulations" (CL-FFP)と呼ばれる規則の一部です。CL-FFPクラブライセンシング と モニタリング という2種類の手続きを定めています。FFPは後者のモニタリングに対応します。CL-FFPの適用対象はUEFA大会(CL/EL/ECL)の出場クラブです*4UEFA大会に出場しない中下位のクラブ、あるいは強豪クラブであってもUEFA大会に出場しないシーズンには適用されません。

クラブライセンシング

クラブライセンスUEFA大会の出場クラブが事前に取得すべき参加資格です*5 UEFAから審査を委託された各国の協会/リーグが、スポーツ部門の他に社会的責任・インフラ施設・経営管理体制・法務・財務など多岐にわたる項目を審査してライセンスを付与します*6

モニタリング

モニタリングはUEFA大会出場クラブの財務状況の審査を意味します。具体的には各クラブが未払い金ゼロ要件(Non Overdue Payables)とブレイク・イーブン要件(Break Even Requirement)の2つを満たしているどうかを審査します。FSRの用語に照らし合わせると前者がソルベンシー、後者が安定性に対応します。クラブライセンスとは異なり、UEFAが承認している独立機関CFCBClub Financial Control Body)がクラブの提出書類を元に審査します 。

未払い金ゼロ要件

UEFA大会の出場クラブは6月末日と9月末日の時点に他のクラブや従業員、社会保障/税金に対する未払いがないことをUEFAに証明しなければなりません*7

ブレイク・イーブン要件

過去3シーズンの均衡収支に関する要件です。2019/20シーズンのUEFA大会出場クラブの場合、2016/17-2018/19シーズンの合計損失(赤字額)が基準以内であることが求められます。2019/20シーズンがライセンスシーズン、2016/17-2018/19シーズンがモニタリング期間と呼ばれます。

後述するとおり、ブレイク・イーブン要件に違反したクラブに対してUEFAがペナルティを科すことがあります。しかし、ペナルティが適用されるのはライセンスシーズンの翌シーズンです。FFPはクラブ経営の悪化を予防する仕組みではなく事後対応的な仕組みといえます。

事後対応的な仕組み

 

ニュースや雑誌でFFPという用語が用いられる場合、ブレイク・イーブン要件のことを指すのが一般的でした。しかし、最近ではプレミアリーグやラリーガが独自に導入している財務規則を指す場合や、欧州サッカーにおける財務規則全般を指す場合も多く、誤解を招く原因となっています。

ブレイク・イーブン要件では損益計算書をもとに均衡収支の達成具合を判定するのですが、以下のような工夫が施されています。

  • 男子11人サッカーのトップチームの関連収益関連費用を用いて合計損失を計算します。関連収益に含めるのはマッチデイ収入・放映権収入・コマーシャル収入・移籍収益などです。関連費用に含めるのは選手・コーチの給与と移籍金(減価償却費)、試合開催や広報に必要な事務経費などです。サッカーのすそ野拡大に貢献する女子サッカー部門・アカデミー部門の人件費や施設整備費(施設の減価償却費)は関連費用に含めません。
  • モニタリング期間の合計損失が500万ユーロ以下であれば均衡収支を達成したと判定します。ただし、増資や寄付によって損失が補填されるのであれば*8最大3,000万ユーロまでの損失が認められます。
  • モニタリング期間に均衡収支を達成できなかった場合、モニタリング期間の直前2シーズンの損益を加えることが認められます*9
  • スポンサー収入・外部サービス委託費・選手売却益などは フェアバリュー(市場での適正評価額)を用いて計算します。マンチェスター・シティとPSGは、オーナー関連企業から得ている高額のスポンサー収入がフェアバリューより高いと判定されており、両クラブは実際に受け取るスポンサー収入より少ない金額しか関連収益として計上できません。

ブレイク・イーブン要件の適用対象に関しては免除規定があります。第一に、経営規模が小さいクラブは適用対象から除外されます*10。第二に、オーナーが変更して間もないクラブや、新たにUEFA大会の出場権を得てブレイク・イーブン要件の適用対象となったクラブについては、2-4年の財務改善計画を含む自主協定(Voluntary Agreement)をUEFAと締結すれば審査基準が緩和されます*11

コラム1:COVID-19への特例

COVID-19がもたらしたシーズンの中止や延期、無観客での試合開催による収益の減少に対処するため、UEFAはブレイク・イーブン要件について2つの特例措置を導入しました。1つは モニタリング期間の変更、もう1つは損益悪化の軽減措置の導入です。

2019/20シーズンが同会計年度内に終了しなかったため、UEFAは2020/21ライセンスシーズンのモニタリング期間を2017/18-2018/19の2シーズン、2021/22ライセンスシーズンのモニタリング期間を2017/18-2020/21の4シーズンとしました。2022/23ライセンスシーズンについても同様に2018/19-2021/22シーズンの4シーズンをモニタリング期間としました。

損益悪化の軽減措置は2つあります。1つはCOVID-19 との直接的な関係が明白であるマッチデイやコマーシャルの減収分を2019/20-2020/21シーズンの損益計算から控除する措置です。もう1つは2019/20シーズンと2020/21シーズンの損益を合計して1/2倍する措置です。COVID-19 との関係が明白とはいえない負の影響(例えば、移籍市場が不活性化したことによる移籍収益の減少)を1/2倍に薄めます。

FFPの運用

FFPの運用はCFCBが担います。CFCBは第一委員会(First Chamber)と裁定委員会(Appeals Chamber)という2つの独立した委員会で構成されます。

第一委員会の主な役割は、FFP規則(未払金ゼロ要件、ブレイク・イーブン要件)に対する違反の有無を提出資料を元に審査することです*12。裁定委員会の主な役割は、違反があった場合にその程度に応じて罰則を決定することと、第一委員会の決定に対する異議申し立てがあった場合に審理・裁定することです*13

FFP規則に違反したクラブが科される罰則は以下の9種類のいずれか又はそれらを組み合わせたものです。

 

なお、違反があったからといってUEFAが直ちに罰則を科すとは限りません。当該クラブに2-4シーズンを計画期間とする財務改善計画を策定・提出させ、計画の中間・最終目標を達成できなかった場合に段階的に処罰を与えるのが一般的です。財務改善計画と違反時の罰則を含む取りきめは和解協定(Settlement Agreement)と呼ばれます。*14

コラム2:2021/22ライセンスシーズンの審査結果

FFP違反時のペナルティの一例として2021/22ライセンスシーズンの審査結果を紹介します。UEFAは2022年9月にブレイク・イーブン要件に違反した8クラブと和解協定を取り交わしたことを公表しました*15

FFPに違反したクラブとペナルティ

 

数字は罰金の金額です。全額を直ちに納入する必要はなく、15%だけ最初に納入して残りの85%は和解協定で定めた中間・最終目標を達成できなかった場合に段階的に納入します。目標の未達の程度によりUEFA大会の選手登録人数の制限や出場権の取り消し処分を科される可能性があります。上記8クラブとは別に以下の19クラブはウォッチリスト(監視対象リスト)に入れられました。該当するのはCOVID-19による特別損失の控除やモニタリング期間の拡大特例の適用によりブレイク・イーブン要件の違反を回避したクラブです。

 

FFP違反とその場合のペナルティというとマンチェスター・シティがCL出場権を賭けてスポーツ仲裁裁判所(Court of Arbitration for Sports)でUEFAと争った事例を思い出される方が多いと思います。しかし、あれはきわめて特殊な事例です。経営状態の改善に向けてクラブと寄り添っていくのが一般的です。

コラム3:FCポルトの事例

FFPが移籍市場に与える影響を理解するためFCポルトの事例について紹介します。興味のない人は読み飛ばしてください。
2017年6月、UEFAは「2020/21ライセンスシーズンにおけるブレイク・イーブン要件の遵守」を最終目標とする和解協定をポルトと締結したと発表しました。2013/14-2015/16シーズンの合計損失がブレイク・イーブン要件の基準を超過したためです。その後、COVID-19の発生を機に、最終目標を「2021/22ライセンスシーズン(モニタリング期間は2017/18-2020/21の4シーズン)におけるブレイク・イーブン要件の遵守」に変更しました。
2022年の春先にかけてポルトの財務状況の審査が行われたところ、ブレイク・イーブン要件に違反したこと、すなわち和解協定の最終目標を達成できなかったことが判明しました。和解協定には「最終目標を未達の場合、CFCBの裁定委員会が罰則を決定する」という規定が盛り込まれています。UEFAはこの規定に従って「ポルトが2022/23ライセンスシーズンにもブレイク・イーブン要件に違反した場合、UEFA大会出場を1シーズン禁止する」と発表しました(2022年8月)。
勘のよい方であればお気づきかもしれませんが UEFAが発表した処分は少し奇妙です。なぜなら、声明が発表された時点では2021/22シーズンの会計年度が既に閉じており、ポルトは何の努力もしようがないからです。ここからは推測ですが舞台裏で次のような動きがあったのでしょう。

  1. UEFAが2022年春先にブレイク・イーブン要件の審査結果をポルトに通告
  2. 2021/22シーズンの会計年度が締まる前に選手を売却して移籍収益を計上するようポルトに対して要求
  3. 2022/23ライセンスシーズンにポルトがブレイク・イーブン要件に違反しないことを確認したうえで先ほどの声明を発表

実際、ポルトは2022年夏の移籍ウィンドウで若手の有望株であるF. ヴィエイラとヴィティーニャをアーセナルとPSGにそれぞれ売却しました。両者の売却益は約7,500万ユーロですが注目したいのは移籍が発表された日付です(6月21日と6月30日)。UEFAの制裁を避けるための選手売却であり、ポルトが大物代理人のメンデス氏に依頼したことが容易に想像できます。
同じ時期にエバートンがリシャルリソンをスパーズに売却しましたが、こちらもプレミア・リーグが独自に設けているFFP規則に対する違反の回避が目的であったと言われてます。移籍ウィンドウのデッドラインとは別に会計年度末の動きも移籍市場を理解する上で興味深いので是非とも注目してみてください。

 

FFPの課題

冒頭で述べたとおり、2022年4月にFFPFSRへと改定されました。改定のドライビング・フォースとして以下の理由が考えられます。

  • COVID-19で棄損したバランスシート回復のために増資や新規投資を呼び込む必要があった。
  • 資金力や事業再生ノウハウをもつPEファンド等が投資しやすい環境整備が求められた。
  • 損益の管理を基本とするFFPはバランスシートの悪化を防ぐうえでは効果があるが既に存在する負債の管理には限界がある。
  • 過去3シーズンの損益に基づく遡及的な仕組みであるFFPクラブの財務安定性の予防管理において限界がある。
  • 各リーグが課している基準とのすり合わせが求められた。例えば、プレミア・リーグでは上述のブレイク・イーブン要件と似た仕組みを導入しているが基準が非常に緩い。ラリーガではリアクティブなFFPとは異なりスカッド・コストをプロアクティブに管理する規則を設けている。
  • マンチェスター・シティパリ・サンジェルマンといったステイト・オウン・クラブによる市場破壊的投資を防ぐための効果的な規制が求められた。

以上の背景を頭の片隅に置いていただいた上で、今回、どのような改正が行われたかを見ていきましょう。

 

2.FSRの仕組み

FSRの3つの柱である 1) ソルベンシー、2) 安定性、3) コストコトロールのそれぞれについてFFPとの違いに注意しながら解説していきます。

FFPとFSRの対応関係(再掲)

 

ソルベンシー

ソルベンシーはFFPにおける未払い金ゼロ要件に対応します。FSRでは7月15日、10月15日、1月15日の3時点において支払い期限を15日以上過ぎた未払いがないことを証明する必要があります。2022年6月から運用が始まっています。

FFPの未払い金ゼロ要件と比較して以下の点で規制が強化されました。

  • 未払い金がないことの証明が2時点から3時点へと増えた*16
  • 3時点での書類提出が義務づけられた*17
  • 違反を問われる遅延債務の対象に、サッカークラブ、選手・職員の人件費、社会保障/税金に加えて、UEFAならびにUEFAライセンスの認証組織が加わった。
  • 支払遅延に対する寛容さがなくなる(運用方法は不明)。

 

安定性の審査

安定性はFFPにおけるブレイク・イーブン要件に対応します。選手や職員の総人件費(給与や社会保障費の合計)が500万ユーロを超えるクラブに適用されます。

ライセンスシーズンやモニタリング期間の考え方は同じですが 均衡収支の基準が大きく緩和されました。従来は3年間で最大3,000万ユーロの損失まで認められていましたが、FSRでは最大6,000万ユーロの損失までが認められます。更に「財務状態が良好」*18 と判断された場合には年間1,000万ユーロの追加損失が許容されます。

安定性の運用は2023/24ライセンスシーズンから始まります。移行措置があり、運用が実質的に開始するのは2024/25ライセンスシーズン、移行措置がなくなるのは2025/26ライセンスシーズンです。

移行措置

 

従来のブレイク・イーブン要件が緩和される一方で*19クラブのバランスシートの強化を目的とする資産超過規制がクラブ・ライセンシングの段階に新たに加わりました。UEFAライセンスを申請するすべてのクラブは、締切日前の12月31日時点において債務超過状態にないこと、または債務超過状態にある場合には債務超過額が前年より10パーセント以上減ってることを証明する必要があります。

資産超過規制は2023年6月1日に施行され、2024/25ライセンスシーズンから適用されます。すなわち、UEFAライセンスの申請クラブは2023年12月31日時点において債務超過状態にないことを証明する必要があります。

 

コストコトロール

コストコトロールFSRで新たに加わった規制です。選手や職員の総人件費(給与や社会保障費の合計)が3,000万ユーロを超えるクラブに課されます。トップクラブの選手とコーチの人件費をクラブ収益の70%以下に制限します。モニタリング期間は安定性とは異なり1年間で会計年度ではなく暦年の情報に基づきます。

人件費には選手とコーチの給与に加えて、勝利給やタイトル獲得のボーナス、社会保障、肖像権対価、移籍金(減価償却)、代理人フィーなどが含まれます。モニタリング期間に発生した人件費をそのまま計上します。クラブ収益はマッチデイ・放映権・コマーシャルの各種収入と選手売却益で主に構成されます。前者についてはモニタリング期間に得た収入がフェア・バリューから乖離していなければそのまま計上します。シーズンごとの変動が大きい選手売却益については過去36ヵ月に得た売却益の1/3の金額を計上します*20

コストコトロールについても安定性と同じく移行措置が設けられています。2023/24ライセンスシーズンから運用が始まり、移行措置がなくなるのは2025/26ライセンスシーズンになります。

移行措置(再掲)

 

コストコトロール規制に違反すると、違反の程度(クラブ収益と人件費の超過額の比で判断)と過去4シーズンにおける違反の回数により段階的に罰金が重くなります。最悪の場合には人件費の超過額が罰金として科されたり、安定性やソルベンシーに違反した場合と同様のペナルティを科される可能性があります。

コストコトロールに違反した場合の罰金額

 

3.おわりに ~FSRのインパクト~

レアル・マドリードユヴェントスマンチェスター・ユナイテッドが2021/22シーズンの決算を発表しました。どこも芳しくありません。スタジアムに観客が戻ってきましたがパンデミックの影響がまだ残っています。

2023/24シーズンにはFSRコストコトロール規制が始まり、総人件費を総収益の90パーセント以下に抑えることが求められます。既に説明したとおり、対象は2023暦年です。2022/23シーズンにCLのグループステージで敗退したり、CLに出場していないクラブはハンデキャップを背負った状態でのスタートになります。

FFPの導入はミランインテルの長期的な低迷の引き金になりました。FSRの導入も欧州主要クラブの経営や移籍オペレーションに混乱をもたらす可能性があります。FSR導入のインパクトはとても興味深いトピックなので、別の記事であらためて議論したいと思います。

 

*1:厳密にいうとFSRは "UEFA Club Licensing and Financial Sustainability Regulations" の一部、FFPは "UEFA Club Licensing and Financial Fair Play Regulations" の一部を構成する規則です。

*2:UEFAFFPの成果として 1) 給与や社会保障/税金などの未払い金をほぼ一掃したこととや 2) 2008/09シーズンに欧州の一部リーグ所属クラブが抱えていた約16億ユーロの赤字を2017/18シーズンに1.4億ユーロまで減らしたことを指摘しています。

*3:UEFAは、欧州全体で約70億ユーロの収益が失われたと試算しています;ゲート収益:44億ユーロ、商業&スポンサー収益:17億ユーロ、放映権収益:10億ユーロ弱。

*4:Qualification Round の出場クラブも含むため、230以上のクラブに適用されます

*5:協会/リーグは新シーズンの開始前(5月末)にUEFA大会出場予定クラブにライセンスを付与したことをUEFAに報告する義務があります。

*6:審査のプロセス・基準については、各国の協会/リーグに一定の自由度が与えられています。自身の裁量で最低要件を厳しくしたり、審査項目を追加できます。協会/リーグは自身が管轄するリーグ/大会のライセンシングにおいてUEFAライセンシングの審査項目を全て取り入れる義務を負っています。

*7:未払い金ゼロ要件の2時点に加えて、UEFAライセンスの取得時に3月末日の時点に前年12月末日を期限とする支払いに対する未払いがないことを証明する必要があります。

*8:内部留保(利益剰余金)を取り崩す場合も同様です。

*9:すなわち、過去5シーズンの合計損失が500万ユーロ以下(又は3,000万ユーロ以下)であれば均衡収支を達成したと判定します

*10:ライセンスシーズンTにおいてシーズンT-2とT-3の関連収益・関連費用がいずれも500万ユーロを下回るクラブ

*11:チェルシーが市場破壊的な選手補強を行えるのは「FFPの適用が免除されるからだ!」という噂が広まっていましたが、その出元はおそらくこの規定です。理由は分かりませんが、現在のFSRには自主協定に関する規定がありません。

*12:提出期限は一般に10月中旬頃です。

*13:裁定委員会の決定に対する異議申し立てがある場合は、スイス・ローザンヌに拠点を構えるスポーツ仲裁裁判所(Court of Arbitration for Sport)に対して上訴する必要があります。

*14:クラブと協議して和解協定を締結するのは第一委員会の役割、和解協定に違反した場合に罰則の適用を最終決定するのは裁定委員会の役割です。

*15:通常は春先に公表されますがCOVID-19 の影響のせいか公表時期が遅れました。

*16:UEFAライセンスの取得においても、2月末日を期限とする支払いの未払いが3月末日時点にないことの証明が必要となり、FFPよりも規制が強化されました。

*17:FFPでは、6月末日時点の未払いについては全クラブに書類提出の義務がありましたが、9月末日時点については一部クラブにのみ書類提出の義務がありました。

*18:純資産、流動比率、純負債と収益の比率、GC注記という4つの基準により判断されます。

*19:FFPでは関連主体(related party)との取り引きにのみ適用していたフェア・バリューの適用範囲を拡大するなど規制を厳しくする方向での変更も一部あります。

*20:移行措置により2023/24ライセンスシーズンは過去12ヵ月の売却益、過去24ヵ月の売却益の1/2、過去36ヵ月の売却益の1/3の中から一番大きい数字を用いることができます。同様に2024/25ライセンスシーズンは過去24ヵ月の売却益の1/2もしくは過去36ヵ月の売却益の1/3のいずれか大きい数字を用いることができます。