2023年冬の移籍市場においてミヒャエル・ムドリクのアーセナル移籍が噂された時期に戦禍のウクライナにおいてシャフタール・ドネツクが置かれた厳しい状況についてまとめたスレッドになります。
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— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
シャフタールドネツクの光と陰
2009年に竣工したドンバス・アリーナ
設計はシドニーのオペラハウスや北京五輪の鳥の巣、サッカースタジアムではエディハドやアリアンツを手がけたアラップ
UEFAから最高レベル⭐️5のスタジアムに格付けされる
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2009年のオープニング・イベントはビヨンセのコンサート、翌年にはリアーナやミラ・ジョボビッチを招待してクラブ創設75周年記念式典を盛大に開催する
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🇵🇱🇺🇦共同開催のEURO2012ではSFの試合会場となった
Rock Arenaやボクシング世界タイトルマッチなども誘致して開催した
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チケット販売に加えて、企業ボックス(ホスピタリティ)の強化、イベント開催、グッズ販売の促進など収益源の多角化と強化を推し進めた
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
しかし、悲劇が訪れる
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2014年に起きたクリミア紛争である
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ドンバス地方でも親ロシア派武装組織との武力衝突が起こり、シャフタールは1,000km離れたキーフへの避難を余儀なくされた
クラブ関係者の中に命を落とした者はいなかったがドンバス・アリーナやトレーニングセンターは被災した
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避難後、最初の2年半はキーフより更に西のリヴィアでホームゲームを開催した
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その後、ファンの近くにいるためドネツクから250kmの距離に位置するハリキウに移転する
COVID-19によるリーグ中断が明けてからは再びキーフに戻っり、現在はディナモ・キーフとスタジアムを共同で使用している
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総工費€400mで建設したドンバス・アリーナは暫くのあいだは人道支援の拠点として使用されていた
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しかし2017年には実効支配されてしまいコントロール権を完全に失う
現在の観客動員は当時の数分の一である
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2022年のロシア侵攻によりシャフタールは更なる打撃を受ける
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現在はポーランドに拠点を置きバスで6-7時間をかけて移動している
22/23シーズンが中止となったのに加えて多くの選手が移籍金を残さずに退団してしまった
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FIFAが国外選手を救うために設けた特例措置により他クラブと進めていた移籍交渉が破談に追い込まれたためである
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
シャフタールはFIFAへの損害賠償を求め、ローザンヌにあるCSAに訴えでている
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クラブの収益は選手売却益とUEFA大会参加費に強く依存している
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
CL出場権は是が非でも死守したいであろう
ミヒャエル・ムドリクの移籍が話題になっている
仮に高額の移籍金を得られたとしても現在の情勢では代わりとなる外国人選手の獲得は難しい
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加えて過去数年のシャフタールのリーグ内での勝ち点や順位を見ると一時期ほどの強さがないことが見てとれる
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
戦時下のクラブとして厳しい状況に置かれているシャフタールとの移籍交渉を平時の常識で判断するのは賢くなかろう
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リナト・アフメトフがオーナーに就任した1996年以来、ブラジルのスカウティング・ネットワークを強化して、フェルナンジーニョやウィリアン、ドウグラス・コスタらを獲得してきた
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
ヨーロッパで最も多くのブラジル人選手を抱えるクラブとも呼ばれ、ピッチ上で数多くの栄冠を手にした
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13度のリーグ優勝に加えて2009年にはUEFA杯でも優勝した
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
輝かしい戦績を誇り国内で随一の人気を誇るシャフタール
エリートクラブへの道を目指し、その階段を登り始めた矢先に国際政治に翻弄された姿は痛ましい
しかし話はそれだけでは終わらない
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1995年、シャフタールFCを含むドネツク地方の利権を握るマフィアの首領が試合観戦中に当時のホーム、シャフタール・スタジアムで爆殺された
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
権力の空白によって生まれた機会を逃さず利権を引き継いだのが首領の助手をしていた若き日の現オーナーのアフメトフである
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アフメトフは利権を引きついだだけでなくそれを拡大させた
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ドンバス地方は東欧でも有数の重工業地帯であるが、一時はウクライナの製鉄所や鉱山の半数以上を所有しており、資産は$31bにもおよんだ
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クリミア紛争によりクリミアとドンバスにおける利権を失い資産は$5.5bにまで減った
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
ただし彼を単なる被害者と見るのは早計である
ウクライナの第4代大統領を務めたヤヌコビッチと近い関係にあり、親ロシア派政党・地域党の国会議員も務めた
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大統領選への資金協力に加えてクリミア紛争時に親ロシア派を資金援助したのではと噂されている
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
本人は強く否定しており、現在は欧州人権裁判所にロシアに対する訴訟を起こす一方で、自身の持株会社や財団、シャフタールを通じて人道支援活動を行なっている
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アフメトフはロシアに亡命したヤヌコビッチを支援したことで特にウクライナ西部の人々から憎まれている
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
一方、ドネツク地方ではシャフタールの運営を通じてフットボールへの愛情を示すとともに住民の職を作り出し人気を博した
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その良し悪しは別にして、シャフタールが彼のパブリシティ戦略において重要な役割を担ってきたのは事実であり政治とも切り離せない関係が見てとれる
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
ENDhttps://t.co/0RGesln8ap
補足すると写真はシャフタールドネツクのannual reportからハードコピーしたものです
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年1月5日
一部ロシア語版もありますが殆どが英語版でふんだんに写真を使っていて15年分以上が公開されているのでおススメです
財務関係のグラフもannual reportから作成しています
NO WAR 💙💛
— じぇふ (@arsenalitics1) 2023年2月24日
動画は😭😭😭 https://t.co/mmjyOLoK90